日本シリーズの第二戦が終わりました。
ちょうどいいタイミングで
「コーチング」言葉と信念の魔術 落合博光を読んでいます。
10年前、2001年に発売された古い本ですが、2001年春に横浜ベイスターズ(森祇晶監督)のキャンプに臨時コーチとして任された時、多村仁という入団7年目の外野手がいた。
この辺りの話が勉強になったので抜粋します。
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2000年まで横浜の助っ人として活躍を続けていたロバート・ローズにそっくりな構え方をしていた。多村がなぜそうしたのか、直接は聞いていない。私の想像だが、高い数字を残すローズの打ち方を毎日見ているうちに、真似してやるようになったのだろう。
同じチームに打率の良いバッターがいると、その打ち方を真似るというやり方はよくある。イチローを真似る選手もいれば、王貞治さんや私の打ち方を真似た者もいた。多村の場合は、たまたまそこにローズがいたということだ。
模倣から入っても、そこから何かをつかめばいい。だから、多村に接した私も、「そのフォームではダメだから、こうやって構えて打て」と言うのではなく、ただひたすらバットを振らせた。振らせる量は半端ではない。2時間、3時間の間に、1000〜1500回振らせた。
私の分析では、模倣したフォームで10時間に1000回振れと言えば、ローズの形のままできると思う。しかし2時間に1000回(7.2秒に1回)以上振らなければならないとなれば、ローズを模倣した形では無理だ。なぜなら、多村の体格でそのスイングをしていたら、余計ない力を使って疲れてしまうからだ。案の定、多村は、次第に少しでも楽をして振れるように自分自身でフォームを変えていった。
そして、最終的にはローズの影も形もなくなって、多村自身が一番楽をして振れるフォームを自分でつかんだのだ。これは、まさしく現役時代の私のやり方だ。
2時間もの間、選手はひたすらにバットを振り、指導者はそれをじっと見続ける―これは選手にとっても指導者にとっても、忍耐に近いものかもしれない。なぜなら、最近の社会は、教える側は教えることに、また教えられる側は教えられることに“慣れ”過ぎていると思えるからだ。こうした傾向は、教える側は画一的な方法論しか持てなくなるし、一方の教えられる側からは自ら学ぼうとする姿勢を奪い取ってしまう。
コーチングとは、経験や実績を備えた指導者(上司)が、いかに選手(部下)を教育するか、という一方的なものではない。愛情を持って選手を育てようとする指導者と、必死に学んで成長しようとする意欲に満ちた選手とのハーモニーである。まずその選手を十分に観察してやることが大切である。
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まず最初の感想は「型は自然と量から作られる」ということ。
量を短縮して質にこだわり、近道ばかりを探してしまいがちですが、
量を求めることで、体が作られ、技も磨かれる。
冬こそ量にこだわってもいい時期ではないかと感じました。
しかし、1000回、2時間もじっと黙って見続けられる指導者ってすごいですよね。
きっと「あーじゃねえ、こーじゃねえ」って私はつぶやいてしまうと思います^^
2011年日本シリーズの対戦相手、
ソフトバンク多村選手の素振りを落合監督は10年前に見守っていたことは知りませんでした。
中日にもソフトバンクにも西武ライオンズ黄金時代を築いた方達が多くいます。
ここから先の10年間、中日ドラゴンズの黄金世代を作った、
落合の弟子達がたくさん指導者として活躍するかもしれません。
そんな視線からも、今年の日本シリーズを楽しもうと思います。
最後にこの本の中で気にいった一言
「最も優秀なコーチこそ、一軍ではなくファームに置きたい」
若手や成長途上の選手指導は、腕の良いコーチに任せるに限る。
一軍は、いかに選手達に気持ちよくプレーしてもらうかの環境作り。
ファームは選手を教えて育てなければいけない組織。能力の高いコーチを数多く置いておきたい。
つまり、江川でも岡崎でもどっちでも・・・ やっぱり止めておきましょう^^
posted by metoo at 12:15| 千葉 🌁|
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