では実際に、子供達にはどうやって何を教えようか?
要はここなんですが、私は子供達に教える事を好みません。誰かに教わる前に「自分で考える野球」をクセ付けたいからです。
ステイバックを簡単に言う「前に強く打とう!」とこの言葉で終わってしまいます。実際に、投げよう、打とう、蹴ろう、と思う瞬間は何も考えていないはずです。
「後ろ足で進んで前足でしっかりと支える」ここを「考えながらの練習」が必要になって来るでしょう。
前にも書きましたが、子供に力はありません。力ではない部分、考え方や技術論、知識を私は子供達に伝えなければと思います。
「この子は体が小さいから力が無いなぁ」
こんな事を考えるならば、指導者が力など使わない打ち方を考えればいいだけです。
力ではない部分と考えると、イチロー選手が頭に浮かびますした。イチロー選手と外国人選手を比べたときには、失礼ですが大人と子供くらいの対格差があります
ではイチロー選手は外国人選手と、何が違うのか、何が勝っているのかを考えると、筋力よりも、体の使い方ではないでしょうか?
イチロー選手の特徴をいくつか考えると
@投手へ向かっていく体重の使い方
A骨盤前傾の使い方
Bバットの使い方
この3つを子供達に指導してみようと思います。
@体重の使い方
腰のキレ、骨盤の急激な回転には、
後ろ足から前足の力強い移動が必要です。
まずは後ろ足に体重を「乗せる」をしなければいけません。
一本足打法や振り子打法など、何でもいいです、大きく後に体重を乗せることを考えさせましょう。
小山氏の「斜め軸」(奇跡のトレーニングより)
股間節、膝関節、足首の関節の直線ラインに、骨盤をかぶせるようにする。
骨盤から三関節のラインで地面を押すと、大きな大きな力を楽に発揮してくれる。
池上氏の「アラインメント」(三軸修正法より)
関節は接触面積が大きいほど、働く力は少なくて済む。
この2つを活かします。
骨盤、股間節、膝関節、足首の関節を、まっすぐなイメージで体重を後ろ足に乗せます。
この時に、ひざをグッと曲げたり、足首にグッと力を入れては、力を使う事になってしまいます。これを鍛えて力強くしてもいいのでしょうが、子供達への指導です。力を使わずに股関節を回す方法を考えます。
ここで松井秀喜選手のバッターボックスに立つまでを真似してみます。松井秀選手は打席に入るとき、前足(右足)で地面をほじくった所に後ろ足(左足)を置きます。
よ〜く見る瞬間がありましたが、はっきりとは確認できませんでした。
そこで一つの仮説を勝手に私が考えました。陸上競技のスタート台(斜め台)を作っているのではないか?穴を掘って後ろ足を斜めに、親指下がり小指上がりに立って見てはどうか?
(間違っていたらゴメンナサイ^^)
これで後ろ足の「斜め軸」が、作りやすく、解りやすいと思います。体重が後ろ股関節に乗れば、いつでも前に進んでしまう、後ろ足の準備OK状態です。

後ろに体重が乗ったら、私は前に倒れるように、前に進みます。
(力強く押すのではなく、自然と投手に向かって倒れます。)
投手に向かって、ステップが大きいほど併進運動も大きくなります。この併進運動の大きさが、次のステイバックにつながる大きな力だからです。
後ろ足から、倒れるような投手に向かっての大きな併進運動は、
前足の着地で、しっかりとふんばり返し(ステイバック)
前足股関節が、強く伸び上がるような支点を作り
後ろ足骨盤は、投手に向かってぶつかるような強烈な押し出しで
腰のキレが生まれると思います。
私の体重移動の考え方は
力を入れなくても、倒れていくような運動をしっかりと前足で支えるだけで、骨盤が自然と力強く回ったほうが、子供には良い方法ではないか?
と言う考えです。
A骨盤前傾の使い方
「骨盤前傾」
股間節、膝関節、足首の関節の直線ラインに、骨盤をかぶせるようにする。

おへそを前に突き出して、
おち○ち○を引っ込めるのが
骨盤の前傾です
その反対、おへそを突き出して、
お○ん○んを突き出すのが、
骨盤の後傾です
骨盤が前に傾いているのが欧米人
日本人は背骨から曲がって後傾が多いそうです。
普段の日常生活から、前傾を心がけていた方がいいようです。
Bバットの使い方
腰のキレが、上半身より先に起こると、上半身は下半身に追いつくようにしなり出し、腕は最後に追いつくようにスピードが加速してきます。
(実際は、この下半身から生まれる加速は、肩甲骨までしか伝わらないようです。)
この時に、バットは体の近くを回らないと、バットが遠回りしてしまいます。
バットは体の近くを回り、縦に落とすように振ると、バットは腕よりもスピードを増して、しなり出すと思います。
小さい体、小さい体重、小さい筋力
子供達を考えると
体に無理をさせない、負荷を最小限に抑える、それでも最大限に体を使える打ち方が、私が子供達に教えたい打ち方です。
もちろん大人は、プロ野球選手はいろいろな打ち方をもっと生み出しているでしょう。
どれが正しい、これが間違っている、とは考えられません。皆プロ野球選手です、全てが正しいでしょう。
「答えはいっぱいある」
野球選手には、子供には、もちろん指導者にも
それぞれの個性があって良いと思います。